デンマークへ社員研修に行ってきました

DAY1
6月17日より4泊6日にて、デンマークの首都コペンハーゲンに視察に行ってきました。
コペンハーゲンは東海岸側で、海に面している街。
「北欧のパリ」とも呼ばれているほど美しい街並みが特徴で、歴史的な建造物と近代的な建築が調和していました。
今回の目的は「3daysofdesign」という北欧デザインの祭典を見ること。
タイトル通り、毎年3日間だけ6月に開催します。
インテリアデザイン、家具、照明、アートなどの企業やブランドが出展対象で、今年で13回目の開催となります。
今年のテーマは「Keep it Real(ありのまま / 現実を見据えて)」
まずは、コペンハーゲン・カストロップ国際空港からコペンハーゲン北部郊外にあるゲントフテ市の地区Ordrup(オアドロプ)へ向かいます。
オードロップゴー美術館
ウィルハレム・ハンセンの私邸とコレクションの絵画を国に寄贈し公開している旧館と女性建築家ザハ・ハディド設計で増築された新館。
ザハ・ハディドが得意としている曲線の造形が目を引き、自然との調和をはかるアプローチがとてもユニークです。室内からも緩やかな曲線を描くフレームが見え、斜めに切り出されたコンクリートや壁が落ち着く空間の一端を担っていました。
フィン・ユールのペリカンチェアも自由に座ることができました。
フィン・ユール邸
ストライキによる飛行機の遅延により、中を見ることはできませんでしたが、生活様式や文化を学べる場所を作りたい、そう考える中で北欧を代表するデザイナー、フィン・ユールの自邸。
彼は日本の建築様式に感銘を受け、自然とともにゆったり暮らせるデザインを大切にしていました。
部屋と部屋、部屋と庭がつながり、さらに奥の別の部屋が見えるような空間活用を考案し、日本の伝統的住宅や町屋などに影響を受けているとも言えるようです。
ルイジアナ美術館
世界一美しい美術館といわれている、ルイジアナ美術館。
元々は、個人の邸宅を美術館にしたので、入り口は小さめでした。
海に面した素晴らしいロケーション。外と中が融合された設計にもこだわっているそうです。
多くの人が芝生に座り、何時間もの、その時を楽しんでいるのが目にとまりました。
「ルイジアナは、『単にそこに存在する』ために行く場所で、来館者がここで何をし、何を感じるかは各人に委ねられています。作品と私たち自身が触れ合うこと、それがルイジアナ創立時の発想であり、今日まで受け継がれています」
と、館長のポール・エリック・トイナーは話しているそうです。
DAY2
ホテルから出て、少し街を散策。
コペンハーゲンの街は、圧倒的にレンガの建物が多く、道路が広い印象を受けました。
第2次世界大戦の被害が比較的少なかったのもあり、デンマークは歴史的建造物が今もしっかりと残されていました。
いよいよ本日から始まる「3daysofdesign」。
日本でいう東京のビックサイトのようなメイン会場というのはなく、日ごろからこの街にある自分たちの店舗が会場になっています。
出展しているお店は風船が目印。今年は黄緑色の風船なので風船があるお店を気軽に見ることが出来ます。
2013年にデンマークの4つの老舗ブランドによる合同展示から始まった3days。
普段コペンハーゲンに店舗を持たない出展者は、スタジオやギャラリー、倉庫、公園などの屋外、普段誰かが住んでいるアパートを借りて出展します。
高級すぎて普段は触るのも緊張するようなブランドの家具も誰もがそのデザインに触れることができる3日間です。
そしてコペンハーゲンの街そのものが舞台となっていて 、どこへでも自転車で行けるコンパクトなサイズ感もちょうどいい印象でした。
今年は450以上のブランドが出店となっていました。今は北欧デザインの最新が集まるイベントとなり、年々規模が拡大しています。
この日は、<ストロイエ通り><トルヴェハレルベ市場周辺><王立図書館周辺>を歩き回りました。
デンマークにはルイスポールセンやレ・クリントなど有名な照明ブランドが多くあります。
間接照明が主流で、空間全体を明るくするというよりも、決まった場所だけを明るくするための照明を多く見かけました。
街を歩きながら、一般住宅の窓を覗いてみると、カーテンを付けない家が多く、窓際やテーブルの上には照明とアートが当たりまえのように飾られていました。
ペンダントライトは光源が直接見えないデザインが多く、コードの長さはテーブルからわずか50cm上に垂らすのがデンマークは主流でした。
これは、部屋全体を明るくするのではなく、テーブルの上にあるものをきれいに見せるための光という意味があり、部屋にはダウンライトなどはありませんでした。
アートホームでは70cmを推奨していることが多いですが、それよりも更に低い位置の50cm。
とてもかっこ良かったです。
DAY3
街全体がイベント会場、入口や受付もなければ、入場料や参加費もなく、歩いてたら風船を見つけて自由に出入りしたり、人だかりがあるとイベント会場だったり。
私たちも歩きながら気になった場所へ立ち寄ったりしていたので中々予定通りには進まず。見たいところが多すぎて大変でした。
そんな中でも印象的だったのは、ほとんどの会場で飲み物や軽食を無料で振舞っていた事。
デンマーク人の生活に、深く根付いた価値観や文化 の「hygge」。日本語では「ほっこり」や「まったり」といったニュアンスに近いとされています。リラックスした雰囲気や、大切な人との温かい時間を過ごすことを指すそうです。新作発表や名作の家具を見るだけではなく、実際にその家具がある暮らしを体現しています。
振る舞われる飲み物や食事を片手に、ゆっくりとした豊かな時間が流れるイベントは、デンマークの“そのもの”。商談している光景は、正直ほぼ見かけず、店員さんもお客様とソファーに腰掛け、話をゆっくり楽しんでいる姿をよく見かけました。
6月の北欧は日が長く、夜の10時くらいまで明るかったので気が付いたら夕食の時間をとうに過ぎていました。
普段予約しないと入れない、キッチンや水回りのブランドを見学したときにジャパンディスタイルを実感。日本と北欧はマッチすると確認でき嬉しかったです。和紙を使った照明を発表している照明ブランドも多かったです。
Bjarke Ingels Group
港の先端に立つ設計事務所のビャルケ・インゲルス の本社。国際的にも活動しており、今トヨタが静岡県で手掛けてる街づくりの設計をビャルケが担当しています。
この港付近は、たくさんの家具ブランドも店舗を構えています。海・港というと漁業のイメージがある私は衝撃を受けました。コペンハーゲンのゴミ処理場も、ビャルケが選ばれ、「平坦な地形のコペンハーゲンにもゴミの山」というアイデアで出来上がったゴミ処理場があります。
Wilhelm Hansens Hus
ヴィルヘルム・ハンセンス邸は、コペンハーゲンの豊かな文化と芸術の遺産を象徴する建物。
この邸宅は文化の中心地として機能し、著名なデンマークの芸術家たちの功績を称える様々な展覧会やアートコレクションを展示しています。
Design Museum Denmark
デンマークで生まれたデザインを中心に、北欧の家具や建築、日用工芸品、商業ポスターなどの傑作に出会えるデンマーク最大の美術館。沢山のポスターや展示の方法もすごく大胆で素敵でした。やはり展示メインの「the danish chair」は大迫力でした。
DAY4
本日は「3daysofdesign」最終日になります。
建材ブランドのショールーム。
各フロアを上がるごとに、木材を使った空間を演出していて、木目や色合いも、日本でも取り入れたいと思いました。
水栓のブランド「ボラ」
予約制ショールーム。
近代建築の巨匠アルネ・ヤコブセンがデザインしたブランドです。
ヤコブセンが亡くなった今は、新作を生み出す際に、ヤコブセンの親族に承諾を得ないとリリースできないらしいです。
アルコールスタンドもスタイリッシュでカッコよかったです。
SASホテル
デザインの巨匠ヤコブセンの最高傑作と言われたSASロイヤルホテルの見学。
建築~家具、ドアノブ、スプーンに至るまでの全てをデザインした世界で最初のデザインホテルです。
有名なエッグチェアやスワンチェアも、このホテルの為にデザイン。
レンガの建物が多い街に、ビルのような斬新なこのホテルは、当時大批判を受けていました。
ホテルが出来たあとに、条例で高い建物の制限がされたため、コペンハーゲンでは、ここよりも高い建物は存在していないとの事。
ヤコブセンスイートの見学もできました。
全てヤコブセンデザインのモノで設え、やっぱり照明の位置が低い。
FRITZ HANSEN 本社/ショールーム
フリッツハンセンの本社。
今回特別に見学させてもらいました。
インテリア好きにはたまらないショールーム。圧巻でした。
シリーズごとに5つのガラス張りの会議室。中庭も自社製品食堂も、セブンチェアやアントチェア。所々に椅子やソファがあり休憩するスポット。各自のデスクは昇降式デスクで統一されていました。
デンマークの職場では昇降式デスクが標準との事で、95%の職場で導入しているそうです。立ったり座ったりを自身でコントロールすることにより、業務のクオリティを大幅にアップしたり、健康面の意識との事でした。
会社内は、フリッツハンセンのものであふれていて、書類や本のさり気ない置きかたも絵になりました。とても素敵で幸せな空間でした。
3daysは、街を歩きながらこの祭典に参加することで、デンマーク人の暮らし方も知れる楽しみがありました。照明とアートは当たり前のように生活の一部となっており、それらが暮らしの豊かさをupさせる必要不可欠なものだと確信しているように受け取れました。
DAY5
帰国時
コペンハーゲンの国際空港もデザインに溢れていました。中央に映っているカート。有名な デザイナー、ポール・クリスチャンセンが手がけたカートです。
限定されたエリアにあるので写真は撮影できませんでしたが、ハンス・ウィグナーの作品で、この空港の為にデザインされたエアポートチェアという名前の青い椅子もあるようです。
有名なアルネ・ヤコブセンのセブンチェアも置いてあるようです。
空港内の案内板もオシャレで、床はチーク材のオイル仕上げ。至る所に自然と馴染む作品たち。
昔は、この世界観を崩さない為に音声アナウンスをしていなかったそうです。
Designの巨匠がたくさん生まれた国ならではの、デザインが飛び交う空港でした。
デンマークの街、地下鉄。
かっこ良いスタイリッシュなデザイン。
デンマークは無人運行、無人駅。
こっそり映っている点字ブロックは鉄。
錆びてる感じもかっこよく、こういった日本のあたり前と違うところを見かけるのも楽しかったです。
デンマークは世界一の自転車都市であり、自転車専用の信号機や、橋もありました。
しかも漕ぐスピードも速い。
時速 20キロ程度で乗ってるそうです。
お財布にも健康にも環境にも良いという点で、世界の中でもいち早く自転車を普及させる取り組みをしていました。
イルドーノでも取り扱いしているニーチェアも出店していました。
ニーチェアは、日本で50年以上もデザインが変わらず選ばれ続けています。全て国内生産で、折りたたみ式、そして自分で組み立てることができ、なおかつパーツごとに買い替える事ができるので長く使い続けることができます。
これがサステナビリティ先進国の人々に、大きく受入れられてるように感じました。
「サステナブル 」を大きく掲げて展開しているブランドは、あちこち見受けられました。
今回の視察を通して、デンマークは人の生活のために考えられた製品を作っている国だと実感しました。
また、デンマークと日本は、建築・インテリア・照明などで深く関係があり、自然や文化を重んじつつ、お互いに影響を受けていました。
そのことを今回の3daysを通して体感し、改めて驚かされました。
歴史、デザイン、サステナビリティが融合した製品が選ばれ、そして多くの人に親しまれているように感じました。
5日間にもわたる長文を読んでいただき
ありがとうございました。
※この情報は現地で個人的に感じたり聞いたりしたことです。
間違っている情報が書かれていてもご了承ください。